創業はアーケードゲームのベンチャー企業

最終章ではジョルダンの歴史と、なぜ今クラウドサービスなのかを。1979年創業のジョルダンは、アーケードゲームからコンピューターソフト業界に参入しました。アーケードゲームは、かつて喫茶店に置かれていたスペースインベーダーなどのゲーム機で(今はゲームセンターにあります)、最盛期を知っている方はおそらく50歳代以上のはず。創業者の佐藤俊和社長は当時、東京大学大学院修了3年目で、ジョルダンは今でいうスタートアップ(ベンチャー)企業のはしりでした。

1994年に鉄道で乗車駅と降車駅を入力すると経路検索できるパソコンソフト「東京乗換案内」を開発、1996年には全国版をネット公開し、2002年からはバスデータの収集・作成に乗り出しています。

最近力を入れるのがMaaSで、本格進出は2017年から。ジョルダンのMaaSは高速バス・空港リムジンバスや路線バスに加え、自治体コミュニティバスのダイヤや運賃といった情報を電子データ化し、「乗換案内」として情報提供します。情報は日本語とともに英語、中国語、韓国語に多言語化し、スマホ決済のキャッシュレス化や地域の魅力的な情報を発信して外国人旅行者を誘致し、地域振興につなげます。

MaaSは確立した定義がなく、〝100年に一度のモビリティ(移動)革命〟と称される巨大なビジネスチャンスの一方で、参入業者がいささか乱立気味という課題もあります。ジョルダンは経路検索から予約、チケット発行、決済といった旅行のすべてをスマホで完結。利用減で苦境に立たされる地方バス事業者の近代化・効率化を支援しつつ、関係機関総ぐるみで地方創生やバス再生を目指します。

今も経営最前線に立つ佐藤社長は会見で、「事業者、地域住民、来訪者、自治体など関係者すべてに有用な共通インフラ基盤を構築するのがジョルダンの使命。ジョルダンスタイル3.1で、新しいライフスタイルを実現したい」と決意を述べました。

ジョルダンは2021年2月に千葉市の幕張メッセで開かれた「地方創生EXPO」に出展。MaaSサービスや自治体アプリを情報発信しました。(筆者撮影)

文/写真:上里夏生