「住友商事や富士通と共同で5G活用」(東急)

東急の「ローカル5G活用実証実験」のイメージ。人による目視検査や目視判断をAIで自動化します(資料:東急電鉄)

鉄道事業者による5G活用のニュースも数多く発信されます。東急電鉄は住友商事、富士通の両社と共同で、東横線と大井町線が交差する自由が丘駅を対象に「ローカル5Gを活用した線路の異常検知・運転支援業務高度化」の実証実験に取り組みます。期間は2020年12月~2021年3月。総務省の「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」に採択され、共同トライアルが決まりました。

実証実験では、自由が丘駅にローカル5Gの通信環境を構築。車両前頭部に4Kカメラを取り付けて画像をAI解析し、設備の異常を自動検知する手法は、鉄道総研のプロジェクトとも共通します。住商や富士通との共同プロジェクトという点では、鉄道業界への広がりが期待できるでしょう。

総務省の公募プロジェクトでは、ほかに京浜急行電鉄の「ローカル5GとAI技術を用いた鉄道駅における車両監視の高度化」も採択されました。スケジュールは2022年3月まで。京急は、中央復建コンサルタンツ、NTTドコモの両社とパートナーシップを組みます。

「5Gで指令業務をサポート」(NEC)

NECの鉄道業務革新イメージ。鉄道業務と旅客サービスの双方向から事業者の業務革新を支援します(資料:NEC)

メーカーサイドでは、こんなニュースも見付かりました。日本電気(NEC)は、「AI・IoTを活用した鉄道業務変革(鉄道DX)」に乗り出しています。鉄道業界が直面する人手不足や技術継承といった経営課題をAIやIoTで解決する趣旨で、実践策の一つの「スマートオペレーション」では、指令業務の革新に取り組みます。

指令は、鉄道の世界でも多くの知識や経験を必要とする業務。平常運転時はまだしも、輸送トラブル発生時には乗務員をはじめ現場からの連絡を受けながら、即座に列車を動かしたり止めたりを判断します。それをシステムに置き換えるというか、指令員の判断をサポートするのが、スマートオペレーションの「指令業務支援」。現場との膨大なデータのやり取りには5Gが有効性を持ちます。

「列車内でプロジェクションマッピング」(日本総研)

日本総研の「車内空間の高度化」のイメージ。動物園へのドライブでは到着前、仮想の動物が車内や路上に登場して来訪客を歓迎します(資料:日本総研)

最後は、視点を変えて、「乗客がうれしい5G」をやや強引に。日本総合研究所が2021年4月に開いた記者勉強会で披露された「車内空間の高度化」は、5Gで列車内にプロジェクションマッピングのように映像を映し出します。日本総研によると、自動車業界では2020年代のうちにすべての窓や天井に映像を投影する技術が実用化されるそうです。

鉄道にこうしたサービスが必要かどうかは何ともいえないところですが、車内空間の高度化が、これまでの5Gと異なるのは、利用客に実感できる新しいサービス向上策という点。観光列車で目的地に到着前、現地の映像を車内全周に投影して、旅行気分を盛り上げるといった新しいサービスが実現するかもしれません。

記事:上里夏生