運賃値下げで事業基盤強化

後半は、各方面で話題の運賃値下げを詳報します。北総鉄道は2021年11月19日、国土交通省に平均15.4%の運賃値下げを届け出ました。

現在は初乗り210円、利用の多い新鎌ヶ谷―千葉ニュータウン中央間の片道運賃は580円ですが、2022年10月1日予定の値下げ後は、それぞれ190円、480円(きっぷ利用の場合)になります。

北総鉄道は、「ポストコロナの輸送動向や沿線の将来を展望するとともに、お客さまの声や沿線自治体の街づくり施策との整合性などを総合的に考察。地域インフラを担う鉄道の利便性向上や、事業基盤の維持・向上につながる、運賃値下げを決断しました」と説明します。

通学定期の大幅根酒で子育て・若い世代の沿線住民増やす

北総鉄道は、すべての運賃を一律に15.4%下げるわけではありません。もっとも値下げ幅の大きいのが通学定期運賃。

印西牧の原―京成高砂間を通学する場合、

現行→ 改定後
1ヵ月定期 1万4990円→  4990円
6ヵ月定期 8万 950円→2万6950円

になります。値下げ額は1ヵ月が1万円、6ヵ月が5万4000円。運賃は3分の1以下になります。なぜ、通学定期をこれだけ大きく下げるのか。理由は、「子育て世帯や若い世代の千葉ニュータウンへの入居を促進したい」に尽きます。

首都圏は長く人口の都心回帰が進みましたが、コロナでテレワークが普及。通勤には便利でも住環境が良好といえない、都心に住む必然性はなくなりました。

「北総線は運賃が高い」と思い込んでいた利用客にとって、値下げは大きなインパクトを与えるはず。「環境がよく、成田空港にも近い北総線沿線で家を探そう」と考える、子育てファミリーも少なくないでしょう。

〝げんこつ電車〟がよみがえる

ラストは、北総鉄道の小ネタ3題。2021年12月に発行したのが沿線小冊子「もっと 北総 Smile 2022」。現在も同社ホームページで読めます。沿線住民の街の感想は「電車、バスも利便性が高く、車を持たずとも住みやすい街」「梨農家がたくさん!!」などなど。ぜひネットでご覧ください。

沿線自治体との協業では、白井市と2021年3月に「白井駅・西白井駅周辺地域の活性化に関する協定」を締結。両駅の副駅名を一般公募で決定し、2022年3月に駅名板を設置しました。もう一駅の白井駅の副駅名は「ときめき 梨の里」です。

副駅名が表示された西白井駅の駅名板。「騎手も育つ街」は、白井市に日本中央競馬会(JRA)の競馬学校があることに由来します(筆者撮影)

最後に鉄道ファン要注目、創業時に投入された7000形車両の保存車(先頭車)が西白井駅に展示されています。鉄道友の会のローレル賞を受賞した7000形のニックネームは「げんこつ電車」。その理由――、説明不要でしょう。

白井市はクラウドファンディング型ふるさと納税の返礼品として、2022年4月に保存車両の公開イベントを実施。北総鉄道は、西白井駅ホームからげんこつ電車を見るよう案内しますが、若干の距離があり、電車が柵に囲まれるので、機会があれば見学会などを開いてほしいと思います。

西白井駅構内に展示される7000形電車。1979年の北初富―小室間開業にあわせて新製。北初富は、かつて北総線にあった新京成との接続駅で、1991年の京成高砂延伸を機に、翌1992年に北総線の駅は廃止。新京成北初富駅は現存します。げんこつ電車の正面はΣ(シグマ)形。正面からの直射日光を受けてもまぶしくなりにくいメリットがあります(筆者撮影)

北総鉄道沿線には「矢切の渡し」「ふなばしアンデルセン公園」「BIG HOPガーデンモール印西」などのスポットも。いつもはスカイライナーでスルーの皆さん、一度北総線の駅に降り立ってみてはいかがですか。

記事:上里夏生